9.2 バックアップ

故障や障害に対する対策 目次 危険なソフトウェアを使用しない

ドライブを3分割し、大事なファイルを E ドライブに集めることで、 C, D ドライブの破壊から大事なファイルを守ることは先に説明しました。
しかし、その 大事な E ドライブが破壊されてしまった場合は、 大事なファイルが失われてしまいます。 特に1台のハードディスクを3分割している場合、 ハードディスクが機械的に壊れてしまった場合は、 C ドライブも、D ドライブも、E ドライブも読み出すことができなくなる可能性があります。 そこで、大事なファイルを別の媒体に バックアップ(Backup)する必要があります。


バックアップは単純な作業です。 単純に別の媒体に大事なファイルをコピーしておくだけです。 以前は専用のバックアップソフトウェアが必要であったりしましたが、 個人での使用であれば、何もそんな大掛かりな仕組みを使う必要はありません。
バックアップをするには、バックアップ先の 媒体(Media)を決めなければなりません。 その媒体はバックアップする容量によって変わります。

バックアップする容量が少ない場合(〜700MB)は CD-RCD-RWなどの CD-ROM がよいでしょう。 それ以上(〜4GB 程度)であれば DVD(Digital Versatile Disk)が便利です。

DVD って Digital Video Disk じゃないの?
音楽が記録されている CD(Compact Disk)に対して、 データを入れることができる CD-ROM は、CD に音楽という言葉が含まれていなかったため、 そのまま CD-ROM(CD - Read Only Memory)という名前になりました。
実は DVD も初期段階では Digital Video Disk の省略でした。 ところが、その後、CD-ROM と同様に DVD にデータを保存できるようになると、 DVD の V が Video では意味が合わなくなってしったのです。 そこで、当時、急遽、DVD を Digital Versatile(多用途)Diskに変更したのです。
記録できる DVD には DVD-R, DVD-RW, DVD+R, DVD+RW, DVD-RAM と複数の規格があり、 また、それぞれに記録速度の制限があります。 お使いのパソコンの DVD ドライブの仕様を確認して媒体を購入しましょう。
特に写真や録画ビデオなどは、内容を変更することはあまりないでしょうから、 できるだけ早めに CD-R や DVD に固定してしまう方がよいでしょう。
現在では、1台で CD-R/CD-RW/DVD-R/DVD-RW/DVD+R/DVD+RW/DVD-RAM がすべて書き込める書き込めるドライブも安価に売っています。 最近のパソコンでもこれらの書き込みをサポートした製品が多く出ています。 また、そういったドライブを交換する方法でなくても、 外付けドライブを購入すれば USB 接続で追加することもできます。 ディスク媒体も安いところであれば DVD-R などでは1枚100円以下で購入できるものもあります。 大事なファイルがあるのであれば、このような環境は揃えておくべきです。
CD-ROM や DVD の具体的な作成方法は、 それぞれの書き込みソフトウェアのマニュアルをお読みください。
データディスクでは クローズ処理、 映像DVD(DVDプレーヤーで再生する形式のDVD)の場合は ファイナライズ処理 をしないと、他のドライブやプレーヤーで読めない場合があります (ただし、その処理をすると追記できなくなります)。

DVD 1枚に入らないような容量になった場合、 バックアップする全体容量を、複数の DVD に分割して書き込むなどの手段が必要になります。 フリーソフトウェアでもバックアップのための分割作業を手伝ってくれるものもありますので、 それらを利用するとよいでしょう。

バックアップサポートソフトウェア みやぱっく (シェアウェア:有料)

最近では、片面2層 DVD の記録ができるものが出てきています。 市販の映画などの DVD は片面2層で長時間録画されているものが多くなっています。 2層は1層 4.8GB の倍の容量を持っています。
書き込み可能な DVD では、一般用では、つい最近(2004年)まで1層(4.8GB)しかありませんでした。 しかし、最近、DVD+R DL と呼ばれる DVD+R 規格で2層(9.6GB)を書き込むことができるものがあります。 DVD-R 規格でも2004年12月に Double Layer DVD-R という2層規格のドライブが発売されます。
さらに、現在は、1枚 27GB(2層54GB)の Blu-ray Disc や、 1枚 15GB(2層30GB)のHD-DVD(High Definition DVD) といった次世代DVDも利用できるようになってきています。

さらに、 大容量になって、DVD でも数十枚になってしまう場合は、 DVD などの媒体へのバックアップは きっぱりあきらめるべきです。
そのような容量になると媒体も多くなり、バックアップの手間も、 バックアップした媒体の管理も面倒になります。 そのような環境の方は、 Disk to Disk のバックアップにするとよいでしょう。 要するに バックアップ用にもう1台、ハードディスクを追加するのです。


バックアップ元のハードディスクとバックアップ用のハードディスクが同時に壊れる可能性はかなり少ないので、 これで、十分、バックアップ用媒体として使用できます。 最近では安いところではハードディスクも 1GB あたりの単価が10円台と非常に安くなっています。 大量の DVD を管理することを考えると、 大容量のハードディスクにバックアップするほうが、 安くて、高速で、手間もかかりません
パソコンに追加のハードディスクを搭載できる場合は、 パソコンの取扱説明書にしたがって、そこに追加します。 そういうスペースがない場合でも、 USB(Universal Serial Bus)や IEEE 1394a(別名 FireWire) などで、外付けディスクを追加することができます。

USB が市販の製品で多く利用されたときの規格は USB1.1 と呼ばれ、 データ転送速度が最大で 12Mbps と、 高速な内蔵ハードディスク(ATA133)の 1/88 の速度しか出ないため、 USB1.1 規格の外付けハードディスクはアクセスが遅く感じるでしょう。 現在では、速度を改善した USB2.0 という最大 480Mbps(ATA133の約1/2) まで出せるデータ転送速度の規格の外付けハードディスクが多数発売されています。
一方、 FireWire は 100Mbps, 200Mbps, 400Mbps の規格があり USB2.0 と同じぐらいの性能を持ちます(FireWireの方が先に作られました)。 FireWire は IEEE 1394b という規格もあり、 こちらは 800Mbps の転送速度を持ちます。 ただし、IEEE 1394b 対応の機器はあまり発売されていません。
ちなみに、USB2.0 や IEEE 1394a 程度の転送速度を持てば、 現実的には内蔵ハードディスクと使用感は変わりません。
もちろん、USB2.0 も IEEE 1394a のどちらの機器を使用するにも、 コンピュータ側がそれぞれに対応していなければなりません。

実際のバックアップ作業は、手作業で大事なファイルをコピーしても構いませんし、 定期的に変更されたファイルを調べてコピーするフリーソフトウェアもありますので、 それを使用するなどすると手間が省けます。
参考フリーソフト: RealSync

上記のようなフリーソフトの場合、単なるファイルのコピーです。 Windows そのものや、Word や Excel などのソフトウェアのインストール状況、 ソフトウェアを使い込んでカスタマイズした設定情報などはバックアップできません。 もし、ハードディスクが壊れた場合、コピーのバックアップでは、 といった手間がかかります。 何がインストールされていたかすべて思い出せますでしょうか? オンラインで購入したファイルは手に入らないかもしれません。 その手間が面倒であれば、市販のバックアップソフトを使用すべきです。
参考市販ソフト: Acronis True Image (製品ホームページはここからたどってください)
この True Image はセキュリティとバックアップの2つを提供します (Norton Ghost よりもお勧めです)。
ソフトウェアからアクセスできない領域へのセキュリティ上のバックアップ (ウイルス等に感染したときにすぐに元に戻せるように)と、 ハードディスクが壊れたときの復旧用バックアップが作れます。 スケジュールを設定して深夜などに自動的にバックアップしたりすることもできます。
この手のバックアップソフトウェアは、 ハードディスクのイメージをそのままバックアップするため、 ハードディスクが壊れて、新しいハードディスクを用意し、 バックアップから復旧した場合、 コンピュータからは壊れる前のハードディスクと新しいハードディスクは区別がつきません。 完全に同一のものになるようにバックアップされます。 ですから、復旧すると、即座に今までどおり利用できるようになります。

さらに高度になると RAID(Redundant Arrays of Inexpensive Disks) によるハードディスクのミラーリングや、 コンピュータを動かしたまま壊れたハードディスクの交換ができる、 ホットスワップ(Hot Swap) などもありますが、 ここら辺はキーワードのみの紹介にとどめます。 興味がある人は調べてみるとよいでしょう。 最近では個人でもこのような環境を導入できるぐらい、価格が下がってきています。


バックアップなんて面倒だし、必要ないよ。
ハードディスクなんて壊れないもんでしょ。
と言う人もいますが、 いざ、壊れたときに泣きを見るか、
バックアップがあるから大丈夫さ!
と言えるかは、 日頃からのこのような備えをしているかによります。
ちなみに筆者も、 今までにハードディスクが数台壊れた経験を持っています。 また、筆者の周りでもハードディスクが壊れた、 という声をよく聞きます。 そして彼らの多くは、 「ハードディスクは壊れるもんじゃない」と思い込んでいたので、 バックアップがなく、泣いていました。
結局のところ、 ハードディスクは消耗品である、 ということを肝に銘じておく必要があります。
最近では設計上は100万時間(100年以上)は壊れない、 というハードディスクもあります。 自作派の方など力のある人は、 パソコンのハードディスクを、 そういったものに交換していくとより安心できるでしょう。 筆者もその種のハードディスクに交換してから1度も壊れていません。

ハードディスクはなぜ弱いか
ハードディスクはモータで超高速回転 (1分間に5000〜10000回転)しているため、 回転軸周り(モータや軸受けなど)が劣化すると、 正常に読み込めなくなり壊れます。 劣化や静電気などでハードディスクに組み込まれている回路の IC チップがおかしくなることもあります。 また、衝撃には非常に弱いので、軽く落としただけで壊れてしまいます。 もちろん、磁気で記録しているため、磁気にも弱いです。
ハードディスクの機械部分の精度は高精度に作られています。 磁気円盤に記録した情報をヘッドと呼ばれる数ミリの部品で読み書きしますが、 このヘッドは磁気円盤を傷つけないため、 磁気円盤の高速回転による気流によって、 磁気円盤から1ミクロン以下の高さで浮いているのです。 最新(2005年)の機種では 10nm(10万分の1mm)の高さで浮いています。 ヘッドの大きさ(1.25mm)をジャンボジェット機(70m)に拡大すると、 地上約1mm(ミリです)以下のウルトラ低空飛行です。 ですから、ちょっとした衝撃で、ヘッドが記録面に触れてしまうと、 記録面が傷つき、もう、読み出せなくなってしまいます (俗に「ヘッドが不時着した〜(泣)」と呼びます)。
最近は衝撃を受けるとヘッドが退避する機構が付いているものもあり、 衝撃に強くなってきてはいますが、 やはり壊れやすいものであることに変わりはありません。 ですから、ハードディスクの取り扱いには十分注意しなければなりません (通常、電源が入っていないときはヘッドは退避しているので、 そのときは、若干、衝撃には強いです)。

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